大好きだった人が結婚することになった。
今朝、家族のお喋り声に起こされて、イライラしながら食卓についた時に知った。
彼は私の憧れだった。
背が高くて、声が低くて、頭が良くて、ユーモアがあって、優しくて。
頑固で、筋の通ってないことが大嫌いで、自分を貫く人だった。
大きくなってから、とんでもない適当自己中ヤローだと知り、
本当に私は男を見る目がないなとガッカリしたものだった。



それでも、15歳の私には、彼がとてもとても眩しかった。
一生懸命頑張っても、彼は私をあしらうばかりで
子供扱いするから、いつもびっくりさせてやるって思っていた。



彼女を知ったのは、3回生ぐらいの時だった気がする。
最初は何も知らなかったから、綺麗な人だなぁと思った。
結婚までの腰掛で適当な仕事して、プロポーズでも待ってんだろ、とも思った。
付き合ってるって聞いて、少しびっくりした。
やっぱり男の人って若くて綺麗な人が好きやねんな、と納得しながらも
なぜか吐き気がした。


もう、とうに彼の中に私の存在なんてないと思っていたし、
私も彼以外に夢中になる人も物もあったから、どうでも良かった。
彼は独身貴族まっしぐらで、彼女ができても結婚は嫌がるんだろうと頭の片隅で思っていた。



だから、全然気にもしなくなっていた先生の結婚はすごくショックだった。
先生、私がいまだにタバコ吸っててウルトラマリンつけてる人が好きなのはあなたのせいです。
幸せにならなかったら、お嫁さんのこと幸せにできなかったら
一生恨んでやる。